私の相続体験記
数年前に私が経験した相続について述べます。皆様の今後に少しでも参考にして頂ければ、幸いです。
なお、私の記憶に基づいて体験談を記載しますが、内容について疑問等をお持ちになった方は専門家である弁護士・司法書士・税理士等にご相談下さい。
私が実感したこと
私の祖母の長男も他界し、祖母には娘のみになり、祖母の長女(私の母)が跡取りになっていた関係で、私が祖母の養子になり、祖母の財産を相続することになりました。
その体験から相続税対策だけではなく、被相続人(祖母のことです)の財産を誰に帰属させるかを被相続人が決定して遺言書等の書面で残しておこと・<遺言書も記載内容等によっては無意味な物になる可能性もあるので、専門家と相談しながら作成したほうが良いことを実感しました。
公証役場での体験
私が祖母の養子になったときは私は大学院生で司法書士事務所でバイトしていました関係で相続に関する争いを見ていたので、祖母と相談して公正証書遺言を公証役場で作成することにしました。
その際に必要な書類は➀相続財産である不動産の登記簿謄本(法務局で取得)・➁相続財産である不動産の固定資産税評価証明書(市役所等の地方公共団体で取得)・➂被相続人と相続人の関係が分かる戸籍(市役所等の地方公共団体で取得)・⓸被相続人の出生から現在までの連続した戸籍(市役所等の地方公共団体で取得)・➄被相続人の印鑑証明書(市役所等の地方公共団体で取得)及び身分証明書(例、免許証等)・➅被相続人と相続人の住民票(市役所等の地方公共団体で取得)でした。
事前に公証人に相談したところ、被相続人が公証役場に来所して立会人2名及び公証人の面前で遺言書記載内容を口頭で述べ、それを公証人が書面に記載して、立会人等が記名押印した公正証書による遺言書が一番確かであり、他の方法では遺言書の有効性を争われる場合もある</font>と言われましたので、祖母と相談してそのようにすることとし、後日祖母と一緒に公証役場を訪れました。
立会人は自分達で用意するよりは公証人に用意してもらったほうが金銭的な負担が少なかったので、立会人2名も公証人に用意してもらいました。
そして祖母が記載内容を口頭で述べたところ、公証人から➀遺言執行者を選任しておいたほうが良いこと・➁祭祀承継者(お葬式主催者及びお墓を守る人)を決めておいたほうが良いこと・➂遺言の最後に目録に記載されていない相続財産は誰に相続させるかを決めておいたほうが良いことをアドバイスされてそのようにしました。
公証人のアドバイスには従いましょう
公証人に詳細を聞いたところ、「➀」については、相続財産を誰に相続させるか決めただけでは実際に相続財産をその人に相続させる手続等をする際に他の相続人の同意が必要になる場合もあるので、それを無しにするためには被相続人の意思を履行する遺言執行者を被相続人が遺言書で選任しておく必要があるとのことでした。
これは確かに公証人の言う通りであったことを相続開始後に実感しました。祖母に選任された遺言執行者である私が祖母の預金等を調査するために金融機関に行き、事情を説明したところどこの金融機関でも私の署名押印のみで手続を進めてくれました。このときは公証人に感謝しました。
次に「➁」についてはトラブル防止の観点から決めておくことをすすめると言われました。
「➂」については遺言書作成以降に財産を取得する可能性等もあるので、それらについても包括的に事前に定めておくとトラブル防止になるとのことでした。
公正証書遺言は金銭的な負担はありますが、公証人と相談しながら安心して遺言書を作成出来るし、将来のトラブルを防止する方法も教えてくれるので、私は保険と考えるとかなりお得だと思います。
また、公正証書遺言だと家庭裁判所での検認も不要であり、相続開始後の手続きは楽でした。
葬儀ではケチになりましょう
相続とは関係ありませんが、生まれて初めての喪主としての葬儀は大変でした。
葬儀後は何もしたくないという気持ちになるのはよくわかりました。突然に訪れた不幸。限られた時間内で行わなければならないことが多々あり、ぐったりしました。
金銭的な負担を少しでも軽くしたかったので、通常はお通夜とお葬式等を数日かけてやるのを一日で行い、お墓に納めるのもその日に行いました。
ご住職様へのお支払いも交渉して値切りました。
葬儀会社についても祖母と生前から打合せして格安なところを見つけていたので、そこに頼みました。
生前からの準備と倹約が何よりも大切です。
相続登記は簡単です。自己申請にトライ!
その後に大変でしたのが相続財産である不動産に関する所有権移転登記です。
司法書士に依頼した場合に数十万円かかるので、自分で書類を作成して自分で申請することにしました。
登記所に数回相談しながらやると、かなり簡単でした。
必要な書類は➀被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(市役所等の地方公共団体で取得)・➁被相続人の戸籍の附票(市役所等の地方公共団体で取得)・➂相続不動産の固定資産税評価証明書(市役所等の地方公共団体で取得)・⓸相続人の戸籍と住民票(市役所等の地方公共団体で取得)・➄公正証書遺言でした。
相続関係説明図を作成するのは大変ですが、時間があって金銭的な負担を軽くしたいと考える方には自己申請はおすすめです。
相続税の申告は怖くない!
一番の難関が相続税の申告でした。一番最初に税務署に相談したときはゾッとしました。相続税の申告をしたいので書類を下さいと言ったら、電話帳みたいな書類の束が出てきたのです。さすがにそれを見たときは税理士に依頼するかと思いました。
しかし、所有権移転登記で使った書類(前記➀から➄)及び相続関係説明図を見せたら、書類は5枚ぐらいになりました。
その理由を聞いたら、ほとんどは有価証券・会社経営に関する書類及び借金に関する書類だったそうです。相続財産が不動産・現金・預金のみであるときは書類は5枚ぐらいだそうです。これなら自分で作成して申告することが出来ると思い、税務署に数回相談しながら作成して申告しました。
基礎控除を考えて申告を
相続財産が基礎控除(現行法では定額控除3000万円と法定相続人数控除600万円×法定相続人数との合計額。私の祖母の場合は旧法でしたので、5000万円と1000万円でした)を確実に超えないとの自信がある人は申告不要と税務署に言われましたが、私にはそのような自信はなかったので、基礎控除内ではありましたが、申告しました。
相続不動産売却時には優秀な不動産屋さんへ!
これから述べることは相続には直接の関係はないのですが、諸般の事情から相続不動産の一部を売却する必要が出てきました。売却先を探したのですが、購入希望者から聞く値段はかなり低価格でした。田舎だからそんなものかと諦めていたのですが、以前から仕事でお付き合いがあった高円寺不動産の田中社長(電話03-6454-6543 HP http://www.koenji-f.jp/ )に相談したところ、かなりな高額で購入してくれる人を見つけてきてくれました。田中社長には感謝・感謝・感謝です!
最後に
私の拙い体験が少しでも皆様のお役に立てれば、幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。